EV充電、週末まとめて?それとも毎日こまめに?“緊急事態”から考える充電管理

EV(電気自動車)オーナーの皆さん、充電ってどうされていますか?

多くの方が週末にまとめて充電したり、長距離移動の予定に合わせて満タンにしたりしているのではないでしょうか。

私もこれまではそうでした。

しかし先日、祖母の葬儀という予期せぬ出来事があり、EVの充電管理について深く考えさせられることになりました。 「充電50%」で直面した、まさかの事態 それは、いつもの週末とは少し違う朝でした。突然の訃報。祖母が他界したと連絡が入ったのです。実家は車で2〜3時間の距離。

すぐにでも駆けつけたい気持ちでいっぱいでしたが、そこでふと、駐車場のEVの充電状況が気になりました。ディスプレイに表示された充電残量は50~60%。 普段、実家へ帰省する際は、あらかじめ予定が分かっているので、出発前に充電を100%にしてから家を出ます。

しかし、今回はまったくの不意打ち。まさかこんな急なタイミングで長距離移動が発生するとは夢にも思っていませんでした。 「この充電で、実家までたどり着けるだろうか?」 瞬間的に不安がよぎりました。

もちろん、途中で充電できる場所を探せば良いのですが、悲しみに暮れる家族の元へ一刻も早く駆けつけたい状況で、充電スポットを探す手間や、充電に要する時間を考えると、大きなストレスになることは間違いありませんでした。幸い、実家まではギリギリたどり着ける計算ではあったものの、この「もしも」の事態に備えていなかったことへの後悔が募りました。 この出来事をきっかけに、私はEVの充電管理について、これまでの「週末にまとめて充電」というルーティンを見直し、「毎日こまめに充電する」という選択肢について真剣に検討し始めました。

週末まとめて充電 vs 毎日こまめ充電:メリット・デメリットを徹底比較

では、週末にまとめて充電する方法と、毎日こまめに充電する方法には、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。経済面、手間、バッテリーへの影響、そして災害時といった様々な角度から考察してみましょう。

週末まとめて充電のメリット・デメリット

まずは、多くのEVオーナーが実践しているであろう「週末まとめて充電」から見ていきましょう。 

メリット

  • 手間がかからない: 週に一度、決まった時間に充電するだけなので、手間がかかりません。平日は充電のことを気にせず、通勤や買い物などに集中できます。
  • 充電設備の利用効率が良い: 自宅に充電設備がある場合、週末の特定の時間帯に集中して充電することで、日中の電気料金が高い時間帯を避けることができます。夜間電力が安いプランを契約している場合は、経済的なメリットも大きいです。
  • 充電スポット探しの手間が少ない: 週に一度満タンにしておけば、日常使いであれば充電切れを心配する場面は少ないでしょう。外出先で急遽充電スポットを探す必要が減ります。

デメリット

  • 急な長距離移動に対応しにくい: 私の経験のように、予期せぬ事態で急な長距離移動が必要になった際に、充電残量が十分でない可能性があります。
  • バッテリーへの負荷: 頻繁に100%まで充電し、長期間その状態を維持することは、バッテリーの劣化を早める可能性があると言われています。特に、長期間EVに乗らない期間がある場合は、充電残量を80%程度に抑えておくのが良いとされています。
  • 災害時の脆弱性: 大規模な停電が発生した場合、週末に充電した残量だけでは心もとない可能性があります。日常的に充電していれば、停電が発生してもある程度の電力は確保できている状態を維持できます。
  • 電力契約によっては経済的ではない場合も: 例えば、電気料金のプランが「日中が安く、夜間が高い」といった特殊な契約の場合、週末の夜間集中充電がかえって高くなる可能性もゼロではありません。ご自身の電力契約をよく確認する必要があります。

毎日こまめ充電のメリット・デメリット

次に、毎日少しずつ充電する「毎日こまめ充電」について考えてみましょう。 

メリット

  • 常に十分な充電残量を確保: 毎日充電することで、常に高い充電残量を維持できます。これにより、急な長距離移動や予期せぬ事態にも慌てず対応できます。私の祖母の葬儀の件のような事態でも、焦る必要がなくなります。
  • バッテリーの寿命を延ばす可能性: バッテリーは、常に満充電に近い状態や、逆に極端に低い状態を維持するよりも、中間程度の充電レベルを保つ方が劣化しにくいとされています。毎日こまめに充電し、例えば80%程度を目安に充電を停止するような運用をすれば、バッテリーへの負荷を軽減し、寿命を延ばせる可能性があります。
  • 災害時の安心感: 毎日充電していれば、いざという時に自宅のEVを「走る蓄電池」として活用できる可能性が高まります。停電時でも、EVからの給電で最低限の家電を動かせたり、スマートフォンを充電したりといったことが可能になります。
  • 電気料金の最適化(スマート充電): スマート充電対応の充電器やEVであれば、電力会社からの信号や、あらかじめ設定された条件(例えば、太陽光発電の余剰電力がある時間帯だけ充電する、電力需要が少ない時間帯に充電する)に合わせて自動的に充電を調整できます。これにより、最も安い電気料金で充電できる可能性が高まります。

デメリット

  • 手間が増える: 毎日充電ケーブルを抜き差しする手間が発生します。日々のルーティンに組み込めれば問題ないかもしれませんが、面倒に感じる人もいるでしょう。
  • 充電設備の設置が前提: 毎日自宅で充電するには、自宅にEV充電設備があることが大前提となります。集合住宅などで自宅充電が難しい場合は、この方法は現実的ではありません。
  • 充電設備にかかる費用: 自宅に充電設備がない場合、設置費用がかかります。工事費用や機器の購入費用など、初期投資が必要になります。
  • 過充電の心配(古いEVの場合): 最新のEVはバッテリーマネジメントシステムが優秀なので過充電の心配はほとんどありませんが、古いEVの場合、常に満充電に近い状態を維持することでバッテリーに負担がかかる可能性もゼロではありません。

結論:ベストな充電方法はライフスタイル次第

ここまで、週末のまとめ充電と毎日のこまめ充電のメリット・デメリットを考察してきました。では、結局どちらが「ベスト」なのでしょうか? 私の結論としては、**「ライフスタイルや居住環境、そして何を重視するかによって、ベストな充電方法は異なる」**ということです。

経済性と手間を最優先するなら「週末まとめ充電」

こんな人におすすめ:

  • 電力会社の夜間割引プランを契約している。
  • 平日はあまり車を使わない、あるいは決まった通勤・通学のみ。
  • 急な長距離移動の予定はほとんどない。
  • とにかく充電の手間を減らしたい。 このような方には、週末に夜間電力が安い時間帯を狙ってまとめて充電する方法が経済的で合理的でしょう。ただし、私のような経験をしないためにも、常に最低限の充電残量は意識しておくことをおすすめします。例えば、普段使いで残量50%を切ったら週末を待たずに充電するといったルールを設けるのも良いかもしれません。

安心感とバッテリー保護、そして「もしも」の備えを重視するなら「毎日こまめ充電」

こんな人におすすめ:

  • 自宅にEV充電設備がある。
  • 電力料金プランがスマート充電に対応している、または日中も比較的安い。
  • いつ何時、急な長距離移動が必要になるか分からない。
  • 災害時の備えとしてEVを「走る蓄電池」として活用したい。
  • バッテリーの劣化をできるだけ抑えたい。 常に充電残量が高い状態を保てる安心感は、一度経験すると手放せないものがあります。特に、私のように急な長距離移動で不安な思いをした方は、この安心感の価値を理解していただけるのではないでしょうか。バッテリーの保護を考えるなら、毎日80%程度を目安に充電を止める運用もおすすめです。

ハイブリッド型:平日こまめ+週末しっかり充電

「週末まとめ」と「毎日こまめ」のいいとこ取りをしたいという方には、ハイブリッド型の充電方法も考えられます。

  • 平日: 毎日、その日に使った分だけ少しずつ充電し、例えば充電残量を50~60%程度に維持する。これにより、日常使いでのバッテリー負荷を抑えつつ、急な移動にもある程度対応できます。
  • 週末: 長距離移動の予定がある時や、災害に備えて満充電に近い状態にしておきたい時のみ、週末にしっかり充電する。 この方法は、バッテリーの劣化を抑えつつ、必要な時に十分な航続距離を確保できるバランスの取れた方法と言えるでしょう。

まとめ

祖母の葬儀での経験から、私はEVの充電管理に対する意識が大きく変わりました。

これまでは「目的地に着けばいいや」という意識が強かったのですが、今は「もしも」の時に備えることの重要性を痛感しています。 EVは単なる移動手段ではなく、スマートハウスの一部であり、災害時には非常用電源にもなり得る存在です。

そのポテンシャルを最大限に引き出すためにも、私たちオーナーがそれぞれのライフスタイルに合った最適な充電管理方法を見つけることが大切だと感じています。

皆さんのEV充電、明日はどうされますか?

今回の記事が、皆さんの充電管理について考えるきっかけになれば幸いです。

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